イギリスにある、ロードピースというNGOが1993年、毎年11月第三日曜日を「道路交通被害者の日」と定め、交通事故で奪われた命を悼むとともに、遺された家族の苦しみを癒やし、さらにこの運動を通じて交通事故防止を呼び掛ける運動を始めました。

 ロードピースの創設者であるブリジッド・チョードリーさんも自動車事故で息子マンスールさんを亡くされているのですが、世界保健機関(WHO)とのかかわりがあったため、WHOの交通被害をなくす日の集まりを実施しました。このほか、ロードピースの活動は世界各地で共感をもって受け止められ、各地で同様の取り組みが行われるようになりました。

 こうした流れを受けて、2005年10月、国連総会で道路交通の安全性改善に関する決議が採択され、決議の中で毎年11月第三日曜日を「世界道路交通被害者の日」と正式に定められました。日本ではあまり知られることがありませんでしたが、交通死遺族である京都の小児科医が国内の交通事故被害者団体に賛同を求めたことがきっかけとなって、次第に広がりを見せています。全国交通事故遺族の会は交通事故の悲惨さを知ってもらおうと、この日にイベントを開催、交通死被害者の会は国、地方自治体、各種民間組織などで交通安全対策に携わっている人たちに、「世界道路交通被害者の日」に合わせて「慰霊祭」を開催するよう、呼びかけています。また、「交通事故被害者遺族の声を届ける会」は、「黄色い風車」を「世界道路交通被害者の日」の統一アイテムとして、事故現場に掲げる運動を進めています。